2008年7月21日月曜日

イノベーティブな「心の習慣」

申請内容について気の向くままに解説をします。今回のテーマは、『イノベーティブな「心の習慣」』です。

この『イノベーティブな「心の習慣」』とは、「新しくしていこう、新しいものを見付けよう、新しいものをつくろうという心の習慣」という意味ですが、「心の習慣」という言葉自体は、ベラー他編『心の習慣』みすず書房(1991年) と言う本のタイトルからヒントを得ました。この事業の特徴を良く表す言葉であるとして、事業名に盛り込み、申請書の中でも使った言葉です。

更に、この本のタイトルである『心の習慣』は、トクヴィル の『アメリカのデモクラシー』(岩波文庫)[講談社学術文庫からは『アメリカの民主政治』のタイトルで出版]に出てくる言葉です。

ベラー他編『心の習慣』(みすず書房)は、200人を超えるアメリカ人にインタビューを行い、アメリカ個人主義を析出するもので、「個人は社会から切り離された絶対的な地位を持つとする功利主義的個人主義と表現的個人主義」を批判し、「社会に根を下ろした倫理的個人主義」を支持、擁護する立場の研究書です。

申請書で使った『イノベーティブな「心の習慣」』の意味するところは、「新しくしていこう、新しいものを見付けよう、新しいものを創ろうという心の習慣」ですが、この言葉には、ベラーらの著書のことも踏まえて、付加的な意味も込めて使いました。

 2002年3月20日付け朝日新聞(夕刊・水曜科学)に、「ノーベル賞100周年フォーラム 創造性を生む秘密を探る」と言う記事が載っています。その記事の中で、シャーウッド・ローランド教授(米国カリフォルニア大学・1995年ノーベル化学賞)が、“創造性について、常に何か新しいこと、他と違うことを見付けようとする姿勢が重要」と述べ、、「日本では『出る杭はは打たれる』と言う諺があるが、そのような雰囲気では創造性は生まれてこない」と指摘”しています。イノベーティブな心の習慣は、「新しいことを見付けようと言う姿勢」と「創造性が生まれる環境をつくろう」という二重の願いを込めた言葉です。

イノベーションをおこすイノベーターの養成だけでなく、イノベーターがイノベーションを進められる環境をつくるなど、イノベーターをサポートする人材も必要であると考えました。また、そのサポートする人材もイノベーティブな「心の習慣」が必要であろうと考えたわけです。つまり、イノベーションをおこす組織やコミュニティを積極的に創っていく倫理的な主体(志と能力を持った人材)を養成する意図も込めた言葉でした。イノベーティブな「心の習慣」と言う言葉は、重層的な意味合いを持っているのです。

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