2008年5月1日木曜日

4月30日提出申請書・前半(最終版)

産学連携による実践型人材育成事業
-サービス・イノベーション人材育成-
(申請書・前半部分)
プロジェクト名称:公共的対話と知的共同作業をベースに「心の習慣」と「イノベーション評価能力」を養成し、地域的競争力の強化にコミットメントする中核的人材育成事業

1 プロジェクトの内容等について

(1)プロジェクトの概要(200字以内)

滋賀大学経済学部に「サービス・イノベーション専攻コース」を設置する。サービス科学の基礎的知識の修得を進めるとともに、公共的対話システムの中での相互評価(レフェリー)の経験と知的共同作業経験をベースにした「心の習慣」と「イノベーション評価能力」の養成を行い、知識基盤社会に相応しい知的クラスターと地域ネットワーク形成をすすめ、地域競争力の強化にコミットメントする中核的人材を養成することを目的とする。

 

(2)プロジェクトの内容について(開発する教育プログラムの具体的内容(カリキュラム、学生数等)等)

 経済学部専門コース制に「サービス・イノベーション専攻コース」を新設する。サービス・イノベーションの基礎となる学識は、経済学、経営学、会計学、情報科学(IT技術)など多様な学問領域に渡る学際的な学習を必要としている。とりわけ、サービス・イノベーションの基礎となるサービス科学の基礎的素養を修得させるために、「科学的・経営工学的手法」の計画的修得を進める必要性が高い。本学部は6学科体制であり、サービス科学の基礎的知識を習得する上で必要とされる科目を従来から一定提供している。しかしながら、科目が学科ごとに提供されているために、学生にとってはサービス・イノベーションに的を絞った履修計画を立てにくいと言う問題もあり、また、サービス・イノベーション人材育成に必要な新規科目等の整備・充実を図る必要もある。

経済学部専門コース制に新たに「サービス・イノベーション専攻コース」を新設し、履修の便宜を図るとともに、コース制を前提としたコース関連科目内容の総合的な調整・管理を推進し、サービス・イノベーション人材育成教育カリキュラムの開発を行う。

専門コース制の教育体制の充実は、①学部の既存の教育資源の活用しながらも新規科目の開発・整備を推進し、②公共的対話システムにおける相互評価(レフェリー)を経験し、4つの現場(プロジェクト科目)の知的共同作業体験を通じて、サービス・イノベーションの基礎となる「心の習慣」と「イノベーション評価能力」の養成を図るという二本柱で進める。二本柱の総合的教育体系の整備を推進することで、①サービス・イノベーションの知識・手法に関わる個々人の力量アップを図り、②「新しくしていこう、新しいものを見つけよう、創ろう」といったイノベーティブな「心の習慣」と「イノベーション評価能力」を養成し、③個人・企業の枠を超えたイノベーションを育む地域的ネットワークなど「イノベーティブな地域」を創り、地域競争力を高めていくことに主体的にコミットメントする(心の習慣を持った)中核的人材の養成をめざす。

○経済学部専門コース制「サービス・イノベーション専攻コース」を新設する。

 指定する科目表から所定の単位数(40単位)を習得した者に対してコース認定を与える。コース認定目標数を学部定員1学年550名に対して年間200名を目標とする。

 コース科目の一部を公開授業として、一般に公開し、体系的な科学的方法の普及啓発を進める。

○公共的対話システムにおける相互評価(レフェリー)の経験の導入

 1.「サービス・イノベーション専攻コース」科目の科目横断的レポート課題「クロス・レポート」に対する相互評価(レフェリー)の経験。

「サービス・イノベーション専攻コース」科目の受講者(600900名を想定)を対象に、科目横断的レポート課題「クロス・レポート(仮称)」を課す。受講者を3グループに分け、3週間に1度レポート作成、3週のうちレポートを作成しない2週はレフェリーを担当するローテーションを組む。レポート課題の作成は、教員集団が行い、学生の課題提出からレフェリー担当学生への配信、レフェリー学生の評価書提出までを一貫したITシステム上で管理を行う。学生の提出レポート及びそれへの評価書はすべて匿名で公開し、評価書に対するコメントも当事者以外から自由に投稿できる仕組みとする。

レポート執筆の経験だけにとどまらず、相互評価(レフェリー)の経験をすることで、イノベーティブな「心の習慣」の形成と「どの点が優れているか」「どの点が新しいか」といった評価センス、イノベーション評価能力を養うことが出来るとともに、創造的なレポート作成への「知性」の涵養に資する。

○外部連携新規科目の新設(案)

1.教養科目

◇「創造的仕事の技術と知識-学ぶこと、働くこと、生きること-」(仮称)

 社会の各方面で活躍中の方々から創造的な仕事をする上での技術と知識の身につけ方などを話してもらう講義。講義は、インタビュー形式で進行する。講義の企画段階から「サービス経済の現場プロジェクト」と「映像の現場プロジェクト」の学生が参加した共同企画として推進し、講義の映像は、プロジェクト科目の「映像の現場プロジェクト」により、webを通じた配信を行うとともに映像アーカイブズとして蓄積される。

2.専門基礎

◇「モノづくり、人づくり、地域づくり」(仮称)

  複数の企業のトップを招き、「生産・営業の戦略」、「人的資源管理の戦略」、「財務戦略」の講義、企業の地域貢献の在り方などを議論する。(1企業21シリーズ6社、イントロダクション1回、学生レポート合評会2回 全15回)

◇「リスク基礎」(仮称)

  食品の安全管理を素材に、リスク評価の基礎知識の習得と評価方法の基礎について講義を行う。産官学の連携による事業推進を行う。

○既存科目の枠組みに新たな実施体制を盛り込む科目

1.プロジェクト科目

  ●4つの現場

   ①アーカイブ形成の現場プロジェクト

    (ⅰ)大学アーカイブズ形成

       ・本学の大学公文書等の整理・保管事業を基盤に、「滋賀大学 大学アーカイブズ(仮称)」の形成。

    (ⅱ)公害資料写真のアーカイブズ(環境アーカイブズ)形成

       ・公害関係写真資料の整理・保管事業を中核に、環境に関わる企業・NPO等の文書蓄積を進め、環境アーカイブズの形成を推進する。

    (ⅲ)滋賀県関係行政資料アーカイブズ形成

・滋賀県に関わる研究に必要とされるデータや政策情報について検討し、経済学部における資料収集の方策をさぐるとともに、地域研究のプラットフォームを形成する。

     ・アーカイブズの公開と知的インフラとして活用した研究教育を推進する。

    ・本プロジェクトの推進体制強化のために特任教授1名を採用する。

   ②公共政策の現場プロジェクト

    (ⅰ)公共サービス・公共政策研究

・「滋賀県関係行政資料アーカイブズ形成」と連携しながら滋賀県下の公共サービス研究を進め、行政情報の在り方を切り口に、公共サービスの質的向上を図る上での必要とされる「共通知」の形成、情報の在り方、行政組織の在り方などの相互連関を研究するプロジェクト。

    (ⅱ)産業地区形成、イノベーション・エリア形成の公共政策

・滋賀県下の産業立地の動向、中小企業の動向などのフィールド調査を通じて、イノベーション・エリア形成の公共政策研究プロジェクト。

   ③映像・メディアの現場プロジェクト

    ・多様なサービス産業への波及効果の大きい映像を中心とするメディアの制作を行うプロジェクトである。映像・メディアの制作プロジェクトは、新規科目「創造的仕事の技術と知識-学ぶこと、働くこと、生きること-」「モノづくり、人づくり、地域づくり」などの企画段階から参画するとともに、講義のウェブ中継、シンポジウム等のweb中継やアーカイブ化などを手がける。本プロジェクトでは、「人に伝える」「情報に価値を吹き込む」をテーマに制作活動を進める。また、本プロジェクト科目では、映像メディア制作のノウハウの蓄積と継承の伝統を学生集団の中に作り出す実験を行う。

    ・本委託事業のweb siteの運営、教育・研究成果のweb発信を行い、発信した情報がどの様に伝わり利用されるのかをも研究することで、webを通じた効果的な情報発信のイノベーションに学生主体で挑戦する。

    ・本プロジェクトの推進のために、特任教授1名を採用する。

   ④サービス経済の現場プロジェクト

    ・近江商人研究を踏まえ、サービス経済の歴史的形成過程の共同研究を学生参画で推進。

    ・彦根高商以来の伝統を持つ陵水会(経済学部同窓会)の協力を得ながら多様なサービス業の現場をテーマにサービス・イノベーション共同研究プロジェクトを推進する。また、地元中小企業を優先的に取り上げること、新規科目「モノづくり、人づくり、地域づくり」への参加企業とすることとし、参加企業同士の相互交流も行い、産学の共同研究の緩やかなフォーラム形成を推進する。

2.基礎文献研究

  ・サービス経済やイノベーションを題材とした古典の講読を進める。古典から学ぶ態度の涵養、文章読解能力の向上を図る。

3.インターンシップ

   ・インターンシップ委員会と連携しながらサービス業へのインターンシップの拡大を図る。

○既存科目の活用

1.コア科目:「統計学AB」「経営学」「ミクロ経済学AB」「簿記会計AB

2.プレ・セミナー科目:「基礎文献研究」「BSセミナー」

3.関連する各学科科目

学科

科目例

経済学科

情報とリスクの経済学 産業政策論 産業組織論 応用統計学

数理統計学 計量経済学Ⅰ・Ⅱ 地域経済論 経済地理学 他

企業経営学科

近江商人経営論 経営組織論 経営管理論 企業成長論 経営戦略論 流通システム論 経営史総論 人的資源管理 生産マネジメント マーケティング論 マーケティング戦略 組織行動論 他

ファイナンス学科

金融のミクロ経済学Ⅰ・Ⅱ ファイナンス基礎数学 他

情報管理学科

データベースシステムⅠ・Ⅱ 経営情報システム設計論Ⅰ・Ⅱ 経営システムの数理Ⅰ・Ⅱ オペレーションズ・リサーチ 多変量解析 情報ネットワークⅠ・Ⅱ 確率・統計 他

会計情報学科

財務会計総論Ⅰ・Ⅱ 財務諸表分析論Ⅰ・Ⅱ 他

社会システム学科

マス・メディア論 産業心理学Ⅰ・Ⅱ 消費者心理学Ⅰ・Ⅱ 他

4.新設及び再編科目群(再掲)

・新設科目:「創造的仕事の技術と知識」「モノづくり、人づくり、地域づくり」「リスク基礎」

    ・再編科目:「基礎文献研究」「BSセミナー」「インターンシップ」「プロジェクト科目」

     ・その他:コース制の完成に必要な新規科目の提供を検討する。

(3)プロジェクトの実施計画について(連携体制・協力内容等も含む)

    ○サービス・イノベーション専攻コース教育調整会議

・コース科目の構成等に関して責任ある体制を確立するために、コース科目担当者から構成される「サービス・イノベーション専攻コース教育調整会議」を設置し、学務委員会等との連携をとりながら教学体制の管理を行う。教学マネジメント責任者、FD連携責任者、情報発信責任者、産学連携責任者、プロジェクト科目責任者を選任し、コース制教育の充実と改善、情報発信の推進、産学連携の円滑化の責任体制を確立する。

・平成20年度に本プロジェクトの実施準備に着手するために準備委員会を設置し、準備が整えば、調整会議に切り替える。

    ○サービス経済研究会(平成20年度設置)

・サービス経済化研究班、公共サービス研究班の2班を構成し、コース制の基盤をなす本学教員を中心とした共同研究組織を編成する。本研究会の研究成果も踏まえて、次項にあげる「サービス・イノベーション専攻コース教育調整会議」において教学の在り方も検討する。

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