☆本事業のことをより理解するためのQ&Aを作成しました。
【質問1】地域にどのように役立つ人材を養成するのですか?
この教育プログラムは、学部生を対象としている点が特徴です。特定の産業を念頭に置いた人材育成というよりも、汎用性のある、広範囲でサービス・イノベーションを担える中核的人材の育成を目指しています。その上で、実務の現場の問題を自分の課題として吸収し、解決のための起業につなげていく人材の輩出にも期待しています。
イノベーターの養成にとどまらず、「出る杭を助ける」人材つまりイノベーターを支援する人材も養成します。製造業の場合、イノベーションの推進力として技術者の養成が重要なポイントとなるのと同様に、サービス・イノベーションの場合、優れたアイデア、優れたサービスの設計のアイデアが重要となります。その優れたアイデアを出せる人材の養成にとどまらず、アイデアの出やすい環境、アイデアを活かせる環境をつくるために不可欠な個人・企業・自治体などを越える地域ネットワークの形成を促進したり、地域まるごと競争力を高めることを考えたりすることが出来る、志と能力、行動力のある人材を養成します。そのためには、全体を見渡しながらイノベーションのことを常に考え、冷静な判断力と行動力を持った人材を養成したいと考えています。地元企業、国内外の企業でイノベーションを起こす原動力となる人材の育成を行いたいと考えております。
【質問2】公共的対話による相互レフェリーの経験とはどのようなものですか?
公共的対話による相互レフェリーの経験は、科目横断レポートであるクロス・レポート(仮称)が基本であり、学生相互のレフェリー経験が基本形となります。クロス・レポートの課題は、従来の科目レポートとは全く違う課題(イノベーションやサービス全般に関わる課題など、いわば教科書的な模範解答のない課題)を課します。
更に、この発展型として、産官学の連携により、実務家を交えたサービスの現場の課題に関わる議論と相互評価を行います。例えば、「JR○○駅前を活性化するには?」「滋賀県北部をシリコンバレーのような一大産業地区にするには?」といった課題をめぐり、実務家を交えて議論を行います。実務家としては、滋賀県内の企業家、大企業の滋賀工場関係者、第二の創業を目指す二代目経営者、金融機関・不動産などサービス業の関係者、本学部の同窓会関係者、本学OBの会計士・税理士、滋賀県の自治体関係者など広範な実務家の参集を求めます。実務家相互の交流の場も設け、交流の場の中から大学を起点とした知的なネットワークの形成を図っていくことももう一つのねらいです。
学生・実務家・教員が、産官学共同で、サービス・イノベーションの実践的なアイデアを競う状況を目的地の一つとして、初学者がそこまで確実に到達できるように、クロス・レポートのシステムはその拡張性を踏まえて段階的に設計されます。
【質問3】知的共同作業とはどのようなことをやるのですか?
「現場」重視のプロジェクトを 設け、そこでの知的共同作業と公共的対話の相互レフェリーの経験を通じて、イノベーションを生み出す原動力であるイノベーティブな「心の習慣」と「イノベーション評価能力」を獲得させることを目指します。
◆産学官連携の四つの現場における知的共同作業
知的共同作業とは、現場が直面している問題に産学官連携で知恵を出し合って解決方法を探る共同作業のことです。サービス・イノベーション専攻コース教育調整会議及びサービス経済研究会の責任の下で、四つの現場プロジェクトを設定し、大学教員スタッフ及びサービス経済の現場(公共部門、民間部門双方の実務家)との連携しながら学生諸君に知的共同作業を経験してもらいます。
◆実務家との交流の中から育むイノベーションのコミュニティ
四つの現場プロジェクトは、学生が実務家と交流する現場であり、その現場に教員も臨場することで、実務家と学生、研究者の相互交流の場を創造します。相互交流の中からビジネスの現場や公共サービスの現場の具体的課題を解決するために知恵を出し合い、利害構造や障害となっている問題の明確化などの共同作業を行い、相互理解を深めることが可能となります。そうした相互理解を深めた共同作業経験からイノベーションの知的コミュニティを形成します。
◆知的共同作業のもたらす効果
四つの現場プロジェクトの知的共同作業は、地域に開かれた知的コミュニティを形成し、そこでの成果は、地域の現場と学術の現場へのフィードバックされることで、産学連携による知的クラスターの形成に繋がり、もって地域競争力の強化に資するものと考えております。
◆四つの現場プロジェクトの二つの分類軸
四つの現場プロジェクトは、公共サービス・公共政策に関わる領域として「①アーカイブ形成の現場プロジェクト」「②公共政策の現場プロジェクト」、民間サービス一般に関わる領域として「③映像・メディアの現場プロジェクト」「④サービス経済の現場プロジェクト」の公共サービスと民間サービスの区分軸、記録・分析の基礎を形成する領域として「①アーカイブ形成の現場プロジェクト」「③映像・メディアの現場プロジェクト」、サービス一般の領域として「②公共政策の現場プロジェクト」④サービス経済の現場プロジェクト」の記録系と一般サービス系の区分軸の二つの軸を設定しました。
【質問4】地域との連携はどのようなことが行われますか?
金融・不動産業を始めとするサービス業、テレビ・ラジオ・新聞社・出版等地方マスコミ関係等広範なサービス関連産業との連携を考えています。本学の理事に、滋賀銀行の元役員を迎えるなど連携の環境は十分にあります。また、地域の環境と第1次産業づくり、食の安全・安心の視点からJA・滋賀県環境生協・地元の環境企業・滋賀県との連携で、食の安全・安心を考えるシンポジウムを毎年開催してきましたが、これまでの連携関係を活かし、発展させていく予定であります。滋賀県内自治体との連携協定の関係などを活かしながら公共サービスの改善を図る連携を進めます。また、滋賀エグゼクティブ・プログラム参加者の企業との連携の可能性も探ります。このように滋賀県を一つの現場に産官学の連携を進めていきますが、サービスは普遍的であると考えており、特定の既存のサービス分野に限定されない、新たなサービス産業の創出につながるようなサービス・イノベーションの出現に期待しています。
【質問5】カリキュラムの工夫はどのようなものがありますか?
○既存カリキュラム:サービス科学の専門知識の習得
本学経済学部は、6学科体制で広範な教育科目を提供しており、サービス科学に関わる主要な専門科目は、既に提供しています。しかし、学科毎に分かれており、学生がサービス科学に関わる履修を体系的に行うには難点も存在しております。そこで、「サービス・イノベーション専攻コース」を設定することで、学生が学際的かつ体系的に履修を図ることが可能となると考えております。また、サービス科学の専門知識の習得のために必要となる新規科目の新設も検討しています。
○新規科目:サービス・イノベーションのための新規科目
既存科目には、イノベーションをテーマにした科目等が欠如しており、イノベーション教育が弱かったことは否めない。そこで、新規科目では、イノベーションをテーマとした新規科目群を新設する。サービス・イノベーション人材育成のためには、サービス科学の専門知識ベースに、サービス・イノベーションのための新規科目が必要となります。新規科目として、①クリエーティブな仕事をしている人から仕事とはなにか、創造的な仕事をするために知識や技術をどう磨いてきたのかなど職業人としての魂・気概などを学ぶ科目「創造的な仕事の技術と知識(仮称)」、②企業のトップから学ぶ企業の戦略「ものづくり、人づくり、地域づくり(仮称)」、③イノベーションの具体的な事例を学ぶ科目、「グッドプラクティス・ケース・スタディ」、④イノベーションの類型論「イノベーション分析論」、⑤サービス科学の最新の動向を提供する科目、⑥サービス業全体を俯瞰するような視点を提供するような科目などを新規科目として新設する予定です。
○特色ある取り組み:「現場重視」でイノベーションの原動力を実装
四つの現場プロジェクトにおいて、学生・実務家・教員が一緒になって、課題を解決する知的共同作業の経験、公共的対話による相互レフェリー経験を通じて、イノベーションの原動力となる「心の習慣」と「イノベーション評価能力」の獲得を目指します。
○養成される人材像
サービス科学の専門知識を習得した上で、学際的な知識の運用力を獲得し、現場で、教科書も正解もないような新しい場面に遭遇したときに果敢に解決に挑戦するイノベーターの志を有し、イノベーションの原動力となる人材を多数輩出することを期待しています。
以上
2008年8月21日木曜日
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