2008年8月21日木曜日

本申請事業の概要について

 現在、文部科学省委託事業「産学連携による実践型人材育成事業-サービス・イノベーション人材育成推進プログラム-」を申請中でありますが、その事業の概要についての解説を作成しましたので、本ブログにアップします。

○本学申請事業の概要について
【申請事業名】

公共的対話と知的共同作業をベースにイノベーティブな「心の習慣」と「イノベーション評価能力」を養成し、地域的競争力の強化にコミットメントする中核的人材育成事業

【申請事業の概要】
 滋賀大学経済学部の学部教育プログラムとして、サービス・イノベーション専攻コースを新たに設置する。本コースの教育プログラムの目的は、①学際的なサービス科学に関する専門知識を提供し、②イノベーションを生み出す原動力となる「心の習慣」と「イノベーション評価能力」を、「現場」重視のプロジェクトを 設け、そこでの知的共同作業と公共的対話の相互レフェリーの経験を通じて獲得させることにある。本プログラムにより、知識基盤社会に相応しい知的クラスターの形成と個人・企業・自治体などを超える地域ネットワークの形成を促進し、地域競争力の強化にコミットメントする中核的な人材を育成する。

【本プロジェクトの特色】

①学際的なサービス科学に関する専門知識の提供を行う。既存の6学科の提供する科目に加え、新規科目の新設、開発を行う。
②「現場」重視のプロジェクトを設け、そこでの知的共同作業と公共的対話の相互レフェリーの経験を通じて、イノベーションを生み出す原動力となる「心の習慣」と「イノベーション評価能力」を実装させる。

【特色ある取り組み】
●公共的対話の相互レフェリー
 詳細は、日を改めて説明するが、レポートに対する相互評価の仕組みを導入するものである。本ブログの「本事業のことをより理解するためのQ&A」 の【質問2】にやや詳細な解説を付けております。

●4つの現場プロジェクト
  ①アーカイブ形成の現場プロジェクト
  ②公共政策の現場プロジェクト
  ③映像・メディアの現場プロジェクト
  ④サービス経済の現場プロジェクト
  各プロジェクトの簡単な紹介は下記の申請書全文を参照ください。
 □申請書前半を読む←クリックしてください。
 □申請書後半を読む←クリックしてください。

○今後の最新情報について
 ●このブログで最新情報をチェックできます。ブックマークしてください。
 ●Googleで検索するときは、「イノベーティブ滋賀」と入れて検索してください。このブログにアクセスできます。

○本件の内容に関わる問い合わせは、
滋賀大学経済学部 サービス・イノベーション検討班まで
 ◆検討班にe-mailを送信

本事業のことをより理解するためのQ&A

☆本事業のことをより理解するためのQ&Aを作成しました。

【質問1】地域にどのように役立つ人材を養成するのですか?
 この教育プログラムは、学部生を対象としている点が特徴です。特定の産業を念頭に置いた人材育成というよりも、汎用性のある、広範囲でサービス・イノベーションを担える中核的人材の育成を目指しています。その上で、実務の現場の問題を自分の課題として吸収し、解決のための起業につなげていく人材の輩出にも期待しています。
 イノベーターの養成にとどまらず、「出る杭を助ける」人材つまりイノベーターを支援する人材も養成します。製造業の場合、イノベーションの推進力として技術者の養成が重要なポイントとなるのと同様に、サービス・イノベーションの場合、優れたアイデア、優れたサービスの設計のアイデアが重要となります。その優れたアイデアを出せる人材の養成にとどまらず、アイデアの出やすい環境、アイデアを活かせる環境をつくるために不可欠な個人・企業・自治体などを越える地域ネットワークの形成を促進したり、地域まるごと競争力を高めることを考えたりすることが出来る、志と能力、行動力のある人材を養成します。そのためには、全体を見渡しながらイノベーションのことを常に考え、冷静な判断力と行動力を持った人材を養成したいと考えています。地元企業、国内外の企業でイノベーションを起こす原動力となる人材の育成を行いたいと考えております。


【質問2】公共的対話による相互レフェリーの経験とはどのようなものですか?

 公共的対話による相互レフェリーの経験は、科目横断レポートであるクロス・レポート(仮称)が基本であり、学生相互のレフェリー経験が基本形となります。クロス・レポートの課題は、従来の科目レポートとは全く違う課題(イノベーションやサービス全般に関わる課題など、いわば教科書的な模範解答のない課題)を課します。
 更に、この発展型として、産官学の連携により、実務家を交えたサービスの現場の課題に関わる議論と相互評価を行います。例えば、「JR○○駅前を活性化するには?」「滋賀県北部をシリコンバレーのような一大産業地区にするには?」といった課題をめぐり、実務家を交えて議論を行います。実務家としては、滋賀県内の企業家、大企業の滋賀工場関係者、第二の創業を目指す二代目経営者、金融機関・不動産などサービス業の関係者、本学部の同窓会関係者、本学OBの会計士・税理士、滋賀県の自治体関係者など広範な実務家の参集を求めます。実務家相互の交流の場も設け、交流の場の中から大学を起点とした知的なネットワークの形成を図っていくことももう一つのねらいです。
 学生・実務家・教員が、産官学共同で、サービス・イノベーションの実践的なアイデアを競う状況を目的地の一つとして、初学者がそこまで確実に到達できるように、クロス・レポートのシステムはその拡張性を踏まえて段階的に設計されます。

【質問3】知的共同作業とはどのようなことをやるのですか?
「現場」重視のプロジェクトを 設け、そこでの知的共同作業と公共的対話の相互レフェリーの経験を通じて、イノベーションを生み出す原動力であるイノベーティブな「心の習慣」と「イノベーション評価能力」を獲得させることを目指します。

◆産学官連携の四つの現場における知的共同作業
 知的共同作業とは、現場が直面している問題に産学官連携で知恵を出し合って解決方法を探る共同作業のことです。サービス・イノベーション専攻コース教育調整会議及びサービス経済研究会の責任の下で、四つの現場プロジェクトを設定し、大学教員スタッフ及びサービス経済の現場(公共部門、民間部門双方の実務家)との連携しながら学生諸君に知的共同作業を経験してもらいます。

◆実務家との交流の中から育むイノベーションのコミュニティ
 四つの現場プロジェクトは、学生が実務家と交流する現場であり、その現場に教員も臨場することで、実務家と学生、研究者の相互交流の場を創造します。相互交流の中からビジネスの現場や公共サービスの現場の具体的課題を解決するために知恵を出し合い、利害構造や障害となっている問題の明確化などの共同作業を行い、相互理解を深めることが可能となります。そうした相互理解を深めた共同作業経験からイノベーションの知的コミュニティを形成します。

◆知的共同作業のもたらす効果
 四つの現場プロジェクトの知的共同作業は、地域に開かれた知的コミュニティを形成し、そこでの成果は、地域の現場と学術の現場へのフィードバックされることで、産学連携による知的クラスターの形成に繋がり、もって地域競争力の強化に資するものと考えております。

◆四つの現場プロジェクトの二つの分類軸
 四つの現場プロジェクトは、公共サービス・公共政策に関わる領域として「①アーカイブ形成の現場プロジェクト」「②公共政策の現場プロジェクト」、民間サービス一般に関わる領域として「③映像・メディアの現場プロジェクト」「④サービス経済の現場プロジェクト」の公共サービスと民間サービスの区分軸、記録・分析の基礎を形成する領域として「①アーカイブ形成の現場プロジェクト」「③映像・メディアの現場プロジェクト」、サービス一般の領域として「②公共政策の現場プロジェクト」④サービス経済の現場プロジェクト」の記録系と一般サービス系の区分軸の二つの軸を設定しました。


【質問4】地域との連携はどのようなことが行われますか?
 金融・不動産業を始めとするサービス業、テレビ・ラジオ・新聞社・出版等地方マスコミ関係等広範なサービス関連産業との連携を考えています。本学の理事に、滋賀銀行の元役員を迎えるなど連携の環境は十分にあります。また、地域の環境と第1次産業づくり、食の安全・安心の視点からJA・滋賀県環境生協・地元の環境企業・滋賀県との連携で、食の安全・安心を考えるシンポジウムを毎年開催してきましたが、これまでの連携関係を活かし、発展させていく予定であります。滋賀県内自治体との連携協定の関係などを活かしながら公共サービスの改善を図る連携を進めます。また、滋賀エグゼクティブ・プログラム参加者の企業との連携の可能性も探ります。このように滋賀県を一つの現場に産官学の連携を進めていきますが、サービスは普遍的であると考えており、特定の既存のサービス分野に限定されない、新たなサービス産業の創出につながるようなサービス・イノベーションの出現に期待しています。

【質問5】カリキュラムの工夫はどのようなものがありますか?
○既存カリキュラム:サービス科学の専門知識の習得
 本学経済学部は、6学科体制で広範な教育科目を提供しており、サービス科学に関わる主要な専門科目は、既に提供しています。しかし、学科毎に分かれており、学生がサービス科学に関わる履修を体系的に行うには難点も存在しております。そこで、「サービス・イノベーション専攻コース」を設定することで、学生が学際的かつ体系的に履修を図ることが可能となると考えております。また、サービス科学の専門知識の習得のために必要となる新規科目の新設も検討しています。

○新規科目:サービス・イノベーションのための新規科目
既存科目には、イノベーションをテーマにした科目等が欠如しており、イノベーション教育が弱かったことは否めない。そこで、新規科目では、イノベーションをテーマとした新規科目群を新設する。サービス・イノベーション人材育成のためには、サービス科学の専門知識ベースに、サービス・イノベーションのための新規科目が必要となります。新規科目として、①クリエーティブな仕事をしている人から仕事とはなにか、創造的な仕事をするために知識や技術をどう磨いてきたのかなど職業人としての魂・気概などを学ぶ科目「創造的な仕事の技術と知識(仮称)」、②企業のトップから学ぶ企業の戦略「ものづくり、人づくり、地域づくり(仮称)」、③イノベーションの具体的な事例を学ぶ科目、「グッドプラクティス・ケース・スタディ」、④イノベーションの類型論「イノベーション分析論」、⑤サービス科学の最新の動向を提供する科目、⑥サービス業全体を俯瞰するような視点を提供するような科目などを新規科目として新設する予定です。

○特色ある取り組み:「現場重視」でイノベーションの原動力を実装
四つの現場プロジェクトにおいて、学生・実務家・教員が一緒になって、課題を解決する知的共同作業の経験、公共的対話による相互レフェリー経験を通じて、イノベーションの原動力となる「心の習慣」と「イノベーション評価能力」の獲得を目指します。

○養成される人材像
 サービス科学の専門知識を習得した上で、学際的な知識の運用力を獲得し、現場で、教科書も正解もないような新しい場面に遭遇したときに果敢に解決に挑戦するイノベーターの志を有し、イノベーションの原動力となる人材を多数輩出することを期待しています。

以上

2008年7月24日木曜日

アーカイブ形成が拓く文化-アーカイブ・ビジネスの可能性-

 2007年4月から2008年3月までの1年間、検討班長の私は、KBS京都のテレビ経済番組にゲストとして、時々出演していました。KBSの担当者曰く、「数千人が観ています」ということで、実際に多くの知人から「テレビに出てましたね」と言われ、多くの方が観ていることを実感しました。教室で講義をしたり、学会で発表したり、論文を書くというのが仕事である大学教員にとって、「限られた時間で視聴者に判りやすい一言」を言うのはなかなか大変な仕事でした。テレビカメラの向こうには、数千人の視聴者がいること、限られた放送時間という制約の中で黒板も配付資料も無しでその視聴者に判ってもらうこと、そこがテレビの面白みであり、凄さなのだなと感じながら関わらせてもらいました。
ただ、テレビの弱点は、放送時間が決まっていること、見逃したり、録画し損ねると観ることができません。YouTubeのような動画サイトやwebテレビが、今日のように隆盛してくると地上波テレビの戦略は如何にあるべきかと考えたりしました。

そのようなことを考えているときに、『【ad:tech速報】テレビ局の逆襲、高品質番組とWeb2.0機能で勝負するNBCの「Hulu」』と言う記事が目に留まりました。この記事では、NBCとFoxが共同出資で立ち上げたhuluが紹介されており、その中でこの事業が立ち上がった「背景には「YouTube」の成功で、動画配信・共有サイトが強化されつつあること。また、YouTubeにテレビ番組の海賊版が上がる理由は、オンラインのほかの場所でそれらの番組を見られないからであることをテレビ局も気がついたからだろう」と書かれています。放送だけにとどまらず、webを通じた配信により、「観たいときに観ることができる」を実現し、テレビの放送時間の弱点を克服しようとしているようです。高品質のコンテンツを制作し、放送だけでなくwebを通じて、放送の制約を離れて、見たい人に提供するそういった放送と通信の融合が進んでいます。今年の北京オリンピックには、民間テレビ放送局が共同で立ち上げた「民放テレビ北京オリンピック公式動画」 というweb siteもあり、我が国でも放送と通信の融合は進みつつあります。

 また、最近しばしば耳にすることでありますが、例えば、ある写真を反復して観たい人は100万人に1人程度かもしれないが、その数は、世界で集計すれば、数千人に達し、数千人の人が繰り返し見たい資料を保持するということが、それだけで経済価値を持ち、新たなサービス・イノベーションの母胎になりうるともいえます。従来はビジネスとは正反対と考えられていたような資料にこそ、新鮮なビジネスの可能性が秘められています。つまり、アーカイブズを形成することが、新しいビジネスや発想の源泉となる可能性を秘めていることになります。

2008年7月23日水曜日

教える経験

 サービス・イノベーション人材育成事業の中に「教える経験100人計画」というのを盛り込んでいます。100人の学生が、他の学生に教える経験をするというものです。学生集団の中に様々なノウハウの蓄積を進め、先輩が後輩に知識を伝達していく仕組みを確立しようとするものです。このアイデアは、思いつきの打ち上げ花火でも、降って湧いたて出たものでもありません。本学部の教育改革・教育実践の中から出てきたアイデアです。
 滋賀大学経済学部では、2004年度に大幅なカリキュラム改定を行い。コア科目「ミクロ経済学A・B」「マクロ経済学A・B」「統計学A・B」「コア政治経済学」「社会経済史」「経営学」「簿記会計A・B」「法学」「科学方法論」の学部専門共通科目を導入しました。更に、「A・B」セットになっている「ミクロ経済学A・B」「マクロ経済学A・B」「統計学A・B」「簿記会計A・B」の4科目については、講義の理解を深めるために「コアセッション」を開講し、問題演習を行う時間を設けました。このコアセッションでは、教員が作成した演習問題をTA・SAが解説します。このTA・SAですが、主に学部学生(SA)が主力であり、年間延べ60名以上の学生が教える経験を積んでいます。この教える経験が、学生の様々な能力を格段に引き上げています。教える経験の実践の詳細については、下記の学習支援室の取り組みを参照してください。

陵水学習支援室の取り組み

番外編
○日経ビジネスonLine 茂木健一郎の「超一流の仕事脳」
 NHKテレビ番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」キャスターを務める脳科学者の茂木健一郎氏の番組に連動したコラムが、日経ビジネスonLineに連載されています。この茂木氏のコラムで中学校教師の鹿嶋真弓先生の話(2007年4月3日放送)は興味深いものがありました。教育の現場だけでなく、組織の在り方にも示唆深いと思いました。
◆茂木健一郎氏コラム「成果主義と相互扶助は両立する」~中学教師・鹿嶋真弓~2007年4月3日放送

○NHKテレビ番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」←番組ホームページ
「人の中で 人は育つ 中学教師・鹿嶋真弓」←第46回(2007年4月3日放送)

滋賀エグゼクティブ・プログラム

 滋賀大学では、2007年より滋賀エグゼクティブ・プログラムを実施しています。この事業は、(社団法人)滋賀経済産業協会滋賀大学産業共同研究センターの共同事業として行われており、特に革新的ビジネスプランの策定を目指した教育研修プログラムを編成しました。そして、次期経営幹部候補者を中心に16名の参加をえました。

2007年度の概要について下記を参照してください。
「産業共同研究センター報 No7」にリンクしております。
産業共同研究センターの報告
受講生の報告
講義担当教員の報告
(社)滋賀経済産業協会の報告

びわ湖環境ビジネスメッセ

 2008年11月5日(水)から7日(金)の3日間、長浜ドームをメイン会場に「びわ湖環境ビジネスメッセ2008」(滋賀環境ビジネスメッセ実行委員会主催)が開催されます。「びわ湖環境ビジネスメッセ2008」は、今年で12回目を迎え、国内最大級の環境産業見本市に育ってきました。滋賀大学は、この「びわ湖環境ビジネスメッセ2008」の主催者である滋賀環境ビジネスメッセ実行委員会のメンバーとして、毎年、パネル展示と協賛セミナー開催で参加してきました。
 本年度も出展を予定しており、現在、協賛セミナーを企画中です。サービス・イノベーション検討班長もセミナー企画委員の一人として、サービス・イノベーションにも関わる魅力ある企画作りを思案中です。

2008年7月21日月曜日

イノベーティブな「心の習慣」

申請内容について気の向くままに解説をします。今回のテーマは、『イノベーティブな「心の習慣」』です。

この『イノベーティブな「心の習慣」』とは、「新しくしていこう、新しいものを見付けよう、新しいものをつくろうという心の習慣」という意味ですが、「心の習慣」という言葉自体は、ベラー他編『心の習慣』みすず書房(1991年) と言う本のタイトルからヒントを得ました。この事業の特徴を良く表す言葉であるとして、事業名に盛り込み、申請書の中でも使った言葉です。

更に、この本のタイトルである『心の習慣』は、トクヴィル の『アメリカのデモクラシー』(岩波文庫)[講談社学術文庫からは『アメリカの民主政治』のタイトルで出版]に出てくる言葉です。

ベラー他編『心の習慣』(みすず書房)は、200人を超えるアメリカ人にインタビューを行い、アメリカ個人主義を析出するもので、「個人は社会から切り離された絶対的な地位を持つとする功利主義的個人主義と表現的個人主義」を批判し、「社会に根を下ろした倫理的個人主義」を支持、擁護する立場の研究書です。

申請書で使った『イノベーティブな「心の習慣」』の意味するところは、「新しくしていこう、新しいものを見付けよう、新しいものを創ろうという心の習慣」ですが、この言葉には、ベラーらの著書のことも踏まえて、付加的な意味も込めて使いました。

 2002年3月20日付け朝日新聞(夕刊・水曜科学)に、「ノーベル賞100周年フォーラム 創造性を生む秘密を探る」と言う記事が載っています。その記事の中で、シャーウッド・ローランド教授(米国カリフォルニア大学・1995年ノーベル化学賞)が、“創造性について、常に何か新しいこと、他と違うことを見付けようとする姿勢が重要」と述べ、、「日本では『出る杭はは打たれる』と言う諺があるが、そのような雰囲気では創造性は生まれてこない」と指摘”しています。イノベーティブな心の習慣は、「新しいことを見付けようと言う姿勢」と「創造性が生まれる環境をつくろう」という二重の願いを込めた言葉です。

イノベーションをおこすイノベーターの養成だけでなく、イノベーターがイノベーションを進められる環境をつくるなど、イノベーターをサポートする人材も必要であると考えました。また、そのサポートする人材もイノベーティブな「心の習慣」が必要であろうと考えたわけです。つまり、イノベーションをおこす組織やコミュニティを積極的に創っていく倫理的な主体(志と能力を持った人材)を養成する意図も込めた言葉でした。イノベーティブな「心の習慣」と言う言葉は、重層的な意味合いを持っているのです。

2008年6月28日土曜日

「琉球貿易図屏風」超高精細デジタルデータ

「全ての人間は、生まれつき、知ることを欲する。その証拠としては、感覚知覚への愛好があげられる。というのは、感覚は、その効用をぬきにしても、すでに感覚することそれ自らのゆえにさえ愛好されるものだからである。しかし、ことにそのうちでも最も愛好されるのは、眼によるそれ[すなわち視覚]である。」出隆訳『アリストテレス 形而上学』岩波文庫

6月25日(木)「琉球貿易図屏風」超高精密デジタルデータ報告会が開かれました。井手亜里教授(京都大学)のプレゼンテーションと実際のデジタルデータの映像が公開されました。

感想は、「凄い」の一言でした。そして、アリストテレスの「最も愛好されるのは、眼によるそれ[すなわち視覚]である。」という言葉にあるように、現代のデジタル技術によって私たちの感性が揺り動かされるそんな報告会でした。

従来、学芸員が虫眼鏡で観ても判読不能な細かいところまで、鮮明なままで拡大できていました。おそらく原寸5ミリ程度の人物の顔もおよそ20から30センチ程度に拡大されましたが、鮮明な画像でスクリーンに映し出されました。目鼻や口、そして眉毛までもがかなり細かく丁寧に描かれているのがスクリーンに映し出され、出席者全員で観ることができます。出席者から感嘆の声があがりました。人物の描写の解析などこれまで明らかにされてこなかったことが次々明らかにあるものと期待されます。

学芸員やその他の研究者が一堂に会して、細かい部分を検証することが出来ます。多面的な研究上の利便性が飛躍的に向上することは間違い有りません。更に、この超高精密デジタルデータを作成する過程で、顔料の成分分析なども出来るようで、美術史研究のツールとして強力な助っ人のようです。

報告会後、先輩教授のお一人は、「あの映像を見たら研究者なら何か(「琉球貿易図屏風」で)研究したいと突き動かされるでしょう」とのコメントをされていましたが、確かに、「視覚によるそれ」が、人を突き動かし、解明したいという見る人の知的欲求を掻き立てることは間違いありません。

報告会後の討論で、このような超高精密デジタル画像技術の著しい発達が進む一方で、そのデジタルデータの保管や利用に関わるルール作りが日本全体で立ち後れていることも課題として浮かび上がってきました。民法の先生も「著作権の切れた美術品のデジタルデータについては、課題として判っているのに10年ぐらい、議論が進んでいない」と言う趣旨のことと話していました。工学技術の発達を上手く活かす、ルール作りも早急に求められているようです。その場合、文化財所有者の権利の保護と私たち人類の共有財産としての文化財を保護し、我々の文化や文明水準を高めるための賢い利用の仕方について検討が必要です。

2008年6月20日金曜日

「琉球貿易図屏風」の超高精細デジタルデータ報告会

滋賀大学経済学部附属史料館からのお知らせです。

+++以下、いただいた案内を元に作成した案内です+++
このたび附属史料館におきましては、京都大学国際融合創造センター ・井手亜里教授による「琉球貿易図屏風」 の超高精細デジタルデータの制作に協力し、そのデータの提供を受けることとなりました。

このデジタルデータは、井手教授のプロジェクトで開発した大型平面入力スキャナーによって制作されたものです。井手教授は、このスキャナーによって二条城の障壁画や大徳寺の襖絵など数多くの文化財のデジタルデータ化を進めており、文化財自体の保存や顔料の特定への活用についてもご研究されております。

二条城障壁画のデータの報告会

今回制作した「琉球貿易図屏風」の超高精細デジタルデータにつきまして、本学において井手教授のプロジェクトによるデモンストレーションと報告会を開催する運びとなりましたので、学内外の方にも是非ご参加いただきたく、お知らせいたします。

報告会は、以下の要領で実施する予定です。

・日時:2008年6月26日(木) 13:00~15:00
・場所:滋賀大学経済学部附属史料館
    2階講義室
・参加費:無料
滋賀大学へのアクセスマップ←ここをクリック
☆彦根駅から滋賀大学行きの「直行バス」が出ています。運賃100円。

本学が所有する貴重な文化的コンテンツである「琉球貿易図屏風」について、そのより良い活用のあり方を考える機会になればと存じております。どうぞ、ふるってご参加ください。

☆ご参加を希望される場合は、必ず史料館まで事前にお申し込みください。
E-mail:shiryo(a)biwako.shiga-u.ac.jp
(a)の部分を@に変更してください。

○本件の連絡先
滋賀大学経済学部附属史料館
滋賀県彦根市馬場1丁目1-1(〒522-8522)
TEL/FAX 0749-27-1046
E-mail:shiryo(a)biwako.shiga-u.ac.jp
(a)の部分を@に変更してください。

2008年5月9日金曜日

「サービス・イノベーション人材育成」応募状況

5月8日(木)、文部科学省より「産学連携による実践型人材育成事業-サービス・イノベーション人材育成-」の申請状況について発表がありました。
申請件数は40件(昨年度35件)、共同申請3件(昨年度2件)でした。国公私立の分類では、国立大学18件(昨年度17件、1件公立含む)、私立大学19件(昨年度16件)でした。採択予定数は、「5件程度の採択予定」と公表されていますので、狭き門であることは確かです。昨年よりも応募件数も増えています。

下記のリンクをクリックしてください。文部科学省の該当ページにリンクしています。
「産学連携による実践型人材育成事業-サービス・イノベーション人材育成-」の申請状況について

応募状況一覧

2008年5月7日水曜日

公文書館の状況

 アーカイブズ・公文書館等の状況についての情報です。

 文部科学省の委託事業「サービス・イノベーション人材育成」事業の申請に際して、知的共同作業を行う「4つの現場」の一つに「アーカイブズ形成の現場プロジェクト」というのを挙げています。アーカイブズ形成では、①大学アーカイブズ、②公害関係資料アーカイブズ、③滋賀県関係行政資料アーカイブズの三つの領域を設定しています。

 この三つめの行政資料アーカイブズは、通常、公文書館と呼ばれる機関が資料の収集と整理・利用の場を創っています。我が国に於いては、国立公文書館、東京都公文書館をはじめとする都道府県立公文書館(31施設)、その他に政令市、市町村立の公文書館が全国にあります。
 東京都公文書館は、そのホームページ上で「公文書館は、歴史的資料として重要な価値を有する公文書等を、国民共通の財産として後代に伝えるため、これを保存し、利用に供する場、過去から未来への架け橋です」と述べています。
(出典)http://www.soumu.metro.tokyo.jp/01soumu/archives/01aboutus.htm

実際の公文書館の状況等については、下記の「国立公文書館」「東京都公文書館」のweb siteを参照してください。
国立公文書館←クリックすると直接移動します。
東京都公文書館←クリックすると直接移動します。

また、公文書館に関わる簡単な情報整理として、Wikipediaの「公文書館」の項目を紹介しておきます。この中に我が国の地方自治が設立した公文書館のリストとその機関の公式ホームページがリンクされています。
Wikipediaの「公文書館」の解説参照←クリックすると直接移動します。

 さて、滋賀県の公文書館の状況ですが、上記のWikipediaの「公文書館」の項目、及び下記の東京都公文書館のリンク集を見ていただきたいのですが、滋賀県には、県立の公文書館がありません。守山市立公文書館だけです。近畿では、滋賀県以外の府県は全て府県立の公文書館を運営しています。滋賀大学での滋賀県行政資料アーカイブズの形成は、公文書館のない滋賀県における公文書館機能の補完的役割としても重要性があるといえます。
東京都公文書館のまとめたリンク集国立の公文書館・関連施設、都道府県立公文書館などのリンク集です。

 なお、滋賀大学の経済学部附属史料館は、「主に滋賀県下における歴史史資料の散逸を防止し、その保存と学術的活用を図ることにより、経済史、経営史及び社会史等の関連諸学の発展に寄与することを目的」としたアーカイブズです。

内閣府「イノベーション25」ホームページ

我が国のイノベーションに関わる政府の戦略指針として、2007年6月1日、長期戦略指針「イノベーション25」が閣議決定されています。下記はその内閣府「イノベーション25」ホームページのアドレスです。

イノベーション25←クリックするとダイレクトに移動します。
http://www.cao.go.jp/innovation/index.html

政府指針の取り纏めの背景・経緯、国内外の政策の状況、関連する資料などがまとまっており、政府のイノベーション政策の方向性が良く判りますので、項目を立てておきます。ご活用ください。

2008年5月4日日曜日

東京大学ものづくり経営研究センター

東京大学21世紀COEものづくり経営研究センターのホームページです。
東京大学経済学研究科の21世紀COEプログラムとして、「ものづくり経営研究センター」が2004年に設立されました。COEは、2008年3月まででしたが、その後は東京大学として活動を継続しています。

東京大学ものづくり経営研究センター←クリックするとダイレクトに移動します。

この「ものづくり経営研究センター」は、「統合型ものづくり」と言う概念を一つのキー概念に研究を進めています。センターの設立の目的に、「戦後日本の製造企業が形成した「統合型ものづくり(生産・開発・購買)システム」の理論的・実証的研究を専門に行なうことを目指」すとされ、基本的目標に「「統合型ものづくりシステム」に関する知識の一般体系化を目指します。この知識に関する産業間移転、および海外発信を促進します。「統合型ものづくりシステム」が企業の競争力および収益力に結びつく過程の分析を進めます。そのための、現場発の新たな産業観を提起」することを掲げています。

 ものづくり経営研究センターのセンター長の藤本隆宏教授を中心にまとめられた『ものづくり経営学』光文社新書(2007年3月)を参考文献として挙げておきます。この書籍及び、ものづくり経営研究センターの研究活動の面白さは、「ものづくり」は製造業独自の課題であるかのように思われがちですが、製造業に限定される課題ではないことを押し出している点だと思います。

 『ものづくり経営学』のなかで、「開かれたものづくり」と言う概念がでてきます。藤本隆宏氏は、「ここで「ものづくり」とは、人工物すなわち「あらかじめ設計された事物」によって顧客を満足させることにほかならない。したがって、「ものづくり」の核心は「もの」というよりもはむしろ「設計」である。新しい設計情報を顧客まで届け、その設計で顧客を喜ばせることが、「開かれたものづくり」の要諦である」(『ものづくり経営学』p285)とし、「第3部非製造業のものづくり 第1章 サービス業に応用されるものづくり経営学」が書かれております。また、本書の中で、「『開かれたものづくり』は、サービス業など非製造業にも応用可能である」との主張が展開されているところから、今回のサービス・イノベーション教育・研究にも関連性が高いかなと考えております。

 ものづくり経営研究センターのホームページでは、センター発行のディスカッションペーパーなど関連する研究成果も一元的に管理されています。ご活用ください。

2008年5月3日土曜日

イノベーションを冠する教育・研究機関

安易な探し方ですが、Google検索で「イノベーション」を冠する教育・研究機関名を探しました。比較的上位でヒットし、経済・経営系の機関と思われるのは下記の8つでした。機関名をクリックすると当該機関のホームページに行きます。

(1)一橋大学イノベーション研究センター

(2)東北大学大学院経済学研究科地域イノベーション研究センター

(3)信州大学 イノベーション研究・支援センター

(4)同志社大学大学院総合政策科学研究科ソーシャル・イノベーション研究コース

(5)群馬大学共同研究イノベーションセンター

(6)東京工業大学大学院イノベーション・マネジメント研究科

(7)法政大学イノベーション・マネジメント研究センター

(8)甲南大学ビジネス・イノベーション研究所

○以下は、昨年度のサービスイノベーション人材育成事業採択機関のホームページです。4月11日の記事の再掲です。

平成19年度公募で採択された6つの大学のサービスイノベーション人材育成事業のweb siteは下記です。京都大学と東北大学、東京工業大学は独自のweb siteを立ち上げているようで、容易にみつけることが出来ました。その他のところのまとまったweb siteをみつけたらお知らせください。

京都大学サービスイノベーション人材育成推進プログラム

東北大学サービスイノベーション人材育成推進プログラム

東京工業大学「社会的サービス価値のデザイン・イノベーター育成プログラム」

筑波大学

明治大学

西武文理大学

●産官学の連携の研究会を組織している事例
東京大学のサービスイノベーション研究会のweb site
サービス・イノベーション人材育成プログラムではないですが、産官学の連携事業の一環として研究会を組織化されているようです。
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